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第58回 ZEN爺の昔物語 「父親の後姿」

小学生になってから、父親の後姿がだんだん大きく見えてきた…

下田のバス会社に勤めるようになってからの父は、

忙しくてほとんど休みがなかった

たまの日曜日になると、父の後をついて歩くのが楽しみになった

夏場の一番の楽しみは、一緒に海に行く事だった



近くの海の磯場に行く時は、だいたいアワビとサザエの素潜り漁!!

ごつごつの岩場につくと、わたしと弟に、

「チョットそこで遊んでるんだぞ」

と言い残して、フンドシ1枚になって水中メガネを付けて

小さなヤスリを片手に持ち、獲物入れの網を腰に括り付けて

あっと言う間に海に跳び込んでしまった(かっこいい!)

一回潜るとなかなか上がってこない



弟と二人で心配していると、波の蔭から

「お〜い、獲ったぞ!見えるか?」と叫んでいる

久しぶりに蛸が獲れたみたいだ

ホッとしていると、すぐまた潜り始めた

海から上がってくると大きなアワビ5〜6パイは持って帰った

波が高い時には岩に叩きつけられる時もある

傷つけて血が出てる父を見ると悲しかったが

でも「父って強いんだなあ!」と思えた



父親から泳ぎを教えてもらったことはない

ただ海に連れて行って、泳ぐ姿を見せてくれるだけだった

父親が漁(?)をしている間に、見よう見まねで覚えるしかない

潜るための泳ぎだったので、平泳ぎと抜き手だけだった

いつの間にか ぷかぷかといつまでも浮かべるようになった



しかも岩場だったので、転んだり滑ったりで

傷だらけになって血を出してばかりいた

少々の怪我を見せても、父は

「海の水で洗って消毒しておきな!!」の一言だった



身体に傷跡が残っていても

  心には感謝の気持ちが残ってる!!!